これからネットワークエンジニアへの転職を考えている人向けに、「ネットワークエンジニアはきついのか?なぜ、やめとけと言われるのか」について解説していきます。
比較されることが多いインフラエンジニアとの違いについてもあわせて解説していきますので、是非参考にしてください。
記事の内容
- ネットワークエンジニアの仕事内容
- ネットワークエンジニアがやめとけと言われる理由
- ネットワークエンジニアのメリット・デメリット
- ネットワークエンジニアに向いている人の特徴
- これからネットワークエンジニアになるために
私は実際にIT未経験からネットワークエンジニアに転職し、その後年収アップを目的にインフラエンジニアに転職しているため、リアルな情報を記載していきます。
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ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアの仕事内容は大きく以下の4つに分けられます。
- 要件定義
- 設計
- 構築
- 運用・保守
要件定義は、「企業のネットワーク構成」についての提案や、古くなった機械やシステム更新の方針を決めていきます。主に顧客との打ち合わせや、資料作成がメイン業務です。
設計は基本設計(案件内容を文章に起こし、論理構成図を作成)と詳細設計(実際に導入する機器の設定値などを決める)に分かれています。
構築は導入する機器の検証や、設定変更にあたり既存機器に影響がないかを確認し、企業へ導入していきます。
運用・保守では動いている機器に障害が発生した場合に遠隔で対応したり、現場へ駆けつけてconfig修正・機器の交換などを行います。
基本的に、上流工程である要件定義や設計を担当するほど年収が高くなります。
IT業界の構造上、クライアントが発注➡元請け➡2次請け➡3次請けと、仕事の範囲によって会社が分かれていることが多いです。
ネットワークエンジニアも同様で、大手企業が要件定義や設計、保守窓口の一次対応を行い、二次請け以降が下流工程を担当することが多いです。
大手企業でも要件定義・設計・構築・運用/保守まですべて行っている会社もあります。上記の図はあくまで一般的な構造になります。
要件定義や基本設計を間違えると、その案件の失敗につながることもあるため、責任が大きくなります。そのため、年収は高い傾向にあります。
インフラエンジニアとの違い
ネットワークエンジニアはネットワーク領域のスペシャリストとなります。
インフラエンジニアは、ITインフラ領域すべてをカバーするため、技術領域的には「ITインフラの中にネットワーク技術が含まれている」ということになります。
このため、ネットワークエンジニアはインフラエンジニアと名乗っても特に問題はありません。求人票でもインフラエンジニア(ネットワーク分野)募集という内容をよく見かけます。
ネットワークエンジニアはやめとけと言われる5つの理由
ネットワークエンジニアはやめとけと言われるのは以下の5つの理由からですが、ネットワークエンジニアには「要件定義・設計・構築・運用/保守」といった4つの担当に分けれ、各担当ごとに辛い部分が異なります。
理由5選
- 不規則な勤務体系
- 障害発生時に緊急対応する必要がある
- 現地作業が多い
- 勉強することが多い
- 2次請け、3次請けになるほど年収が低くなる
インフラエンジニアがやめとけと言われる理由と重複している部分がほとんどです。
それぞれの理由がどの担当に当てはまるのかも含め、解説していきます。
不規則な勤務体系(早朝・夜勤・休日出勤)
工程でいうと「構築」担当が当てはまりやすく、カレンダー通りに土日祝日に休みたい場合は辛く感じる人もいます。
インフラはガスや電気と同じくらい、生活に必要なものですそれは企業のネットワークも同様です。
多くの人が利用している平日の昼間にネットワークを停止すると、利益が大きく減る・仕事ができなくなるという会社の損害につながります。
基盤であるネットワークが停止すると、一般ユーザーがアプリケーションを利用できなくなり、クレームや会社の信用が低下につながります。
このような理由から、ネットワークエンジニアは基本的に「企業がネットワークを止めてもいい時間帯」に構築作業を実施するため、定時後・土日祝日に作業をすることが多くなります。(土日や夜勤に仕事した場合は、翌日が休みになる・振替で平日に休むことができます。)
勤務が不規則であると言っても毎日バラバラの勤務体系というわけではなく、多くても月に4回程度で夜間や土日出勤が無い月もあります。
これは担当する案件に影響され、金額が大きな案件であれば数カ月の準備期間があります。その期間に作業が発生することはありません。
障害発生時に緊急対応する必要がある
工程でいうと「構築」「運用」担当が当てはまりやすいです。いつ呼び出されるかわからないという不安があることから、辛いと感じる人も多くいます。
しかし、現地に呼び出される場合は「事前に担当が決まっている」「待機時間にも給与・手当がでる」ということも多く、給与に反映されることから歓迎している人も一定数います。
ネットワークやサーバーは事前に設計や動作試験を行ってから導入しますが、実際に企業の環境で動かしてみないと正常に稼働するかの保証ができません。
理由としては以下のようなものがあげられます。
- 企業に導入されている既存システムを事前に全て確認することができない
- サーバーやネットワーク機器の予期しないバグが導入後に発覚する
- LANケーブルや光ケーブルが断線する
- サイバー攻撃を受ける
24時間365日動作しているインフラ機器は基本的に監視システムによって管理されているため、障害が発生すると「企業の情報システム部門担当者」「導入したベンダーの運用窓口」に連絡が入ります。
定時内であれば「構築担当者が駆けつける」こともありますが、夜間の場合は「事前に取り決めが無い場合」、現地に駆け付けなければいけないということはありません。
一次対応は運用窓口がメール・電話で実施します。緊急であっても翌日の営業日に現地対応します。
すぐに対応しない理由としては、「現場にインフラエンジニアが駆けつけても企業に立ち入ることができないから」です。企業の担当者も同時に駆け付けなければいけない障害規模は無いとは言い切れませんが、夜中に呼び出されるかもという不安に毎日怯える生活にはならないので安心してください。
現地作業(出張)が多い
工程でいうと「構築」担当が当てはまりやすいです。遠隔地での作業などもあるため、知らない土地を経費で観光できることから喜ぶ人がいる反面、辛いと感じる人もいます。
設計や事前検証は自社で実施しますが、実際にネットワークエンジニア機器を導入するのは企業になるため、ネットワークエンジニアの現場作業は企業のデータセンターや工場、オフィスフロアで実施します。
企業が自宅から近い場合はなにも問題がありませんが、遠い場合は前日にホテル宿泊することもあります。また、全国展開している企業の場合、支社や支部を1年かけて全国行脚する可能性もあります。(全国行脚の場合は土日に出張となるため、平日は自宅に帰ることができます。)
勉強すること(覚えること)が多い
工程でいうと「要件定義・設計」「構築」担当が当てはまりやすいです。技術は日々進化しているため、勉強することや新しいことを学ぶのが嫌いというに人には辛いと感じる部分もあります。
ネットワークは全てのシステムの基幹部分であるため、ネットワーク以外にもサーバーやLinuxOSについても知識が求められることがあります。また、クラウド化や仮想化が進む中で、ネットワーク分野以外の部分も勉強する必要がでてきます。
ネットワーク分野以外でプロフェッショナルになる必要はありません、勉強していなければ打ち合わせや基本設計書の内容がわからないといったこともでてきます。
今後のキャリアップのためだと自分を納得させ、ネットワーク分野以外の勉強は手を抜かないことをおすすめします。
ネットワークエンジニアの転職
ネットワークのエンジアは知識の希少性や重要性から、キャリア・年収アップのための転職が成功しやすいです。
大手SIerや大手社内SE、外資ベンダー、インフラエンジニア、クラウドエンジニア、セキュリティエンジニアといった転職が可能となります。
2次請け、3次請けになるほど年収が低くなる
IT業界の構造上、元請けが顧客から発注を貰い、上流工程を担当するため年収が高い傾向にあります。
そのため、2次請け・3次請けとレイヤーが低くなるごとに企業に入るお金も減り、従業員の給与も低くなります。
未経験でネットワークエンジニアになる場合は2次請け・3次請け企業からスタートすることが多いと思いますが、2~3年働くことで上流工程や元請け企業に転職することは十分可能です。
顧客と打ち合わせはしたくない、機器を触るのが好きという理由で構築以外したくないという人もいるため、一概に元請け企業・上流工程がおすすめですとは言えません。
ネットワークエンジニアのメリット6選
ネットワークエンジニアは激務・年収が低いと言われる部分もありますが、以下のようにメリットも多い職種となります。
メリット・魅力
- 需要が高く、安定している
- 学歴や職歴に関係なく未経験でもチャレンジできる
- 転職しやすく、キャリア・年収アップ可能
- リモートワーク(在宅勤務)可能
- 手に職をつけることができる
- 機械に触れることができる
それぞれの理由について解説していきます。(インフラエンジアと重複する部分が多いです。)
需要が高く、安定している
ネットワークエンジニアは需要が高く、安定している職業になります。
インターネットやWebサービスはこれからも利用され続けますが、それらの基盤を支えているのがネットワーク技術になります。また、IoT、AI、5Gなどの技術にはネットワークが不可欠であるため、これからも需要は伸び続けると予想できます。
企業ネットワークはクラウドへの移行が進んでいますが、ネットワークの技術は必ず必要になります。
クラウド化が進んでいるからといって、ネットワークエンジニアの需要が無くなるということはありません。クラウドエンジニアやインフラエンジアへ職種を変えることになる可能性は高いですが、ネットワークの知識・技術の需要は今後も増え続けます。
学歴や職歴に関係なく未経験でもチャレンジできる
ネットワークエンジニアはこれまで〇〇を勉強してたから仕事でも役に立つ、というものではなく、経験や慣れが必要になってきます。
知識やスキルがあることも大切ですが、1人で案件をこなしていくには時間がかかることを企業は知っているため、「やる気」「向上心」など前向きな気持ちがあれば転職でも採用されやすい傾向にあります。
私は20代中盤のときに、ネットワークの資格無しでもIT業界未経験から大手IT企業に転職することができています。(勉強しているアピールはしました。)
また、未経験に加えて30代からでもチャレンジすることが可能です。
転職しやすく、キャリア・年収アップ可能
IT業界全体的に言えることですが、個人の技術を身に付けることができるため他の職種や業界に転職しやすくなります。
ネットワークエンジニアのであれば、「社内SE」「インフラエンジニア」「クラウドエンジニア」へ転職することは容易になります。
下流工程から上流工程へのキャリアアップも可能であり、社内SEになる場合はIT業界に限らず、製造業界やアパレル業界の企業で働くこともできます。
リモートワーク(在宅勤務)可能
世界的なパンデミックの前から、IT業界ではリモートワーク制度(スーパーフレックス)は導入されていました。
ネットワークエンジニアはリモートワーク環境を提案・構築しているベンダーでもあるため、自社に導入してから他企業へ実績をかねて提案するという流れを行っています。パンデミック終息後もリモートワーク制度は継続すると考えられ、ハイブリット勤務(週3回出社など)が一般的になるかと予想されます。
NTTでは転勤・単身赴任を廃止し、終息後もテレワークを続けると宣言しています。(2021年10月時点
手に職をつけることができる
ネットワークエンジニアはITに関する幅広い知識を身に付けることができます。企業では資格取得に報奨金をだすことも多く、資格取得に対するモチベーションを維持することができます。
上流工程であればITスキルに加え、工程管理などマネジメント力やコミュケーション力も向上します。
構築であれば機器を触ることも多く、トラブルに合うことも多いため、問題解決能力や相手を説得する力が身に着きます。転職したての頃は大変なことも多いですが、早い段階で「技術を身に付けている」感を得ることができます。
機械に触れることができる
ネットワークエンジニアはネットワークの設計だけでなく、ネットワーク機器(ルーターやスイッチ、ファイアウォールなど)を設定・導入することが必要です。
ネットワーク機器はCisco、Juniper、Fortinet、Paloaltoなど複数の国内・海外ベンダーが展開しています。機械いじりが好きな人には特におすすめです。(要件定義・設計担当だと触れる機会が極端に減ります。)
新品の機器の設定を行い、企業へ設置・試験が完了して問題なく本番稼働を迎えたときには、仕事に対する達成感も大きいです。
ネットワークエンジニアに向いてる人の特徴
ネットワークエンジニアはマイナーな職業であるため、ITの中でもやりたい人が少ないことから希少価値のある職種になります。そのため、アプリケーションエンジニアなどと比較しても年収が高い傾向で、未経験の募集も多いです。
ネットワークエンジニアに向いてる人の特徴は、大きく以下の5つです。
向いてる人の特徴
- ハードウェアに興味がある
- 安定して高い収入を得たい
- コツコツと努力を積み重ねられる
- コミュニケーション能力がある
- 忍耐力がある
それぞれの特徴について解説していきます。
ハードウェアに興味がある
ネットワークエンジニアはハードウェア機器を触る機会が多いです。特に構築担当だと、さまざまなメーカーの機器を操作することになります。また、LANケーブルや光ケーブル、Stackケーブルなど、機器同士を接続する機会も多いです。(企業内の配線などは工事部隊が実施します。)
自分の手で機器を操作し、ネットワーク環境を構築するため、ソフトウェアだけでなくハードウェアにも興味を持つことが大切になります
安定して高い収入を得たい
ネットワークエンジニアはITを支える基幹であり、ネットワークが無ければパソコンもアプリケーションもインターネットに接続することができません。
需要がある反面、ネットワークエンジニアを目指す人は少ないため、希少性があります。そのため年収も高い傾向があります。
なぜ目指す人が少ないのかというと、独学でネットワークを構築するのはハードルが高いことが考えられます。
アプリケーションであれば自宅のパソコンがあれば無料ツールを用いて作成することができますが、ネットワーク環境はそうはいきません。自宅の無線Wi-Fi環境を設定するのが限界です。
コツコツと努力を積み重ねられる
ネットワークエンジニアの仕事は1日で全て完結することはありません。また、資料作成(マニュアル作成)や検証は似たようなことを淡々と何日か続けて行います。
全く同じ仕事をする日はありませんが、ベテランになってくると「前にも同じようなことをやったな」となり、飽きがでてきます。
コミュニケーション能力がある
ネットワークエンジニアは、要件定義や基本設計を行う場合はクライアントと打ち合わせ(ヒアリング)を何度もします。そのため、クライアントが要求していることを正確に把握し、言語化・図示化するコミュニケーション能力が必要になります。
また、構築や運用・保守であっても一人でプロジェクトを進めていく機会はほぼなく、数人のチームを組んで行います。人と関わることが苦手、相手の言っていることを理解するのに時間がかかるという人は難しいです。
忍耐力がある
ネットワークエンジニアは仕事量が多く、似た仕事を毎日繰り返す時期もあります。
飽きっぽい人、残業を絶対したくないという人にはあまり向きません。
未経験からネットワークエンジニアになるために
IT未経験の20代・30代からでもネットワークエンジニアになることは可能です。
以下のグラフをみていただきたいのですが、経済産業省では高位シナリオ(IT需要の伸びが最大)の場合、2030年には約79万のエンジニアが不足する予測しています。IoT、5G(6G)、AIの発展により、このシナリオが実現する可能性は非常に高く、ネットワークエンジニアの需要は増え続けています。
10年後のエンジニア不足に備え、企業側も早い段階から人を多く採用する動きがあり、年収もこれから更に上がっていくことが考えられます。
IT業界の中でもネットワークエンジニアは少し特殊で、プログラマーやWeb、アプリケーションエンジニアと比較すると目指す人が少ない傾向があります。
ネットワーク構築はお洒落なデザインをすることもなく、アプリケーションのように形に残るものでもありません。地味でつまらないという印象があり、華が無いといったイメージがあるようです。
しかし、プログラムもアプリケーションもWebもインフラ(インターネット)があって初めて多くの人に使われます。このことから、すべてのITの基盤にあるのがネットワークになります。
高位シナリオに備えて企業もIT人材の不足に備えて採用を進めてはいますが、優良企業から募集がなくなっていくのも事実です。
未経験であればまずは技術を身に付ける転職を1回、その後キャリアアップの転職を考えるとなると、早めに行動・経験を積んでいくことが大切です。
ネットワークエンジニアを目指す場合、個人で企業に応募するのではなく転職でエージェントの利用をおすすめします。
現在働いている人や短期間での転職を繰り返していない人など、庶務経歴が綺麗な人は以下の転職エージェントをおすすめします。
まとめ:ネットワークエンジニアはやめとけと言われる理由
ネットワークエンジニアがきついと言われる理由を解説しました。辛い部分が多い反面、メリットも多くあるため、少しでも興味がある場合は未経験からでもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ネットワークエンジニアがきついと言われる理由
- 不規則な勤務体系(早朝・夜勤・休日出勤)
- 障害発生時に緊急対応する必要がある
- 現地作業(出張)が多い
- 勉強すること(覚えること)が多い
- 2次請け、3次請けになるほど年収が低くなる
ネットワークエンジニアのメリット
- 需要が高く、安定している
- 学歴や職歴に関係なく未経験でもチャレンジできる
- 転職しやすく、キャリア・年収アップ可能
- リモートワーク(在宅勤務)可能
- 手に職をつけることができる
- 機械に触れることができる
ネットワークエンジニアに向いてる人の特徴
- ハードウェアに興味がある
- 安定して高い収入を得たい
- コツコツと努力を積み重ねられる
- コミュニケーション能力がある
- 忍耐力がある
未経験からネットワークエンジニアになるために
- 転職サイトで未経験可の求人に応募する
- 転職エージェントを利用する
未経験であっても転職には転職エージェントの利用をおすすめします。転職のプロが無料で支援してくれるため、積極的に利用していきましょう。また、転職エージェントごとに扱っている求人も異なるため、利用する場合は複数(2、3個)を並行して利用することをおすすめします。