ペーパーレス化とは紙媒体の使用を削減することで、「紙コストの削減」「環境保全」を目的としていますが、個人でも取り組めることができ、それにより生活の利便性も向上させることができます。
紙の使用を無くすこと考えると非常に難しいですが、例えば印刷する量を減らす、メモ帳をアプリなどで電子化する、紙の本を買わずに電子書籍を購入するなどを思い浮かべると身近に感じるのではないでしょうか。
政府としても情報化・コンピュータの普及が進む中で法律を改め、「電子帳簿保存法」では国税関係の帳簿類や証憑類の一部(または全て)を電子データで保存することを認めています。
この記事ではペーパーレス化を目指す企業の取り組みや解説、個人として取り組めることを紹介していきます。
こんな方におすすめ
- ペーパーレス化とはなにかを知りたい
- 企業がペーパーレス化をすすめることでのメリット・デメリットを知りたい
- 個人で実践できるペーパーレス化の例を知りたい
ペーパーレス化のメリット
企業から見て、ペーパーレスのメリットは多くあります。例えば印刷するためのコスト削減になることや、資料を探す時間が短縮されることなどがあげられます。
印刷コストが削減される
紙の印刷コストは紙のサイズや厚み、インク、印刷方式によってことなります。例えば、RICHOの印刷機では以下のような金額が「1枚当たり」の印刷コストとして必要になります。
印刷1枚あたりの料金
200人の社員が30日間10枚モノクロコピーをすると186,000円かかります。加えて紙を処分する費用、資料を保管する場所の確保を考えると、一年間で膨大な金額を紙の利用に支払っていることになります。
電子化する場合は保存容量に応じてサーバー維持費やパブリッククラウドへの従量課金が発生しますが、根本的な印刷費用(ランニングコスト)は削減することができます。
資料の検索性が向上する
電子化してサーバーへフォルダごとにデータをまとめていると、10年前のデータでも昨日のデータでもパソコンの前から移動せずに確認することができます。また、フォルダ内検索を行うことで古いデータであってもすぐに目的のファイルを見つけることができます。
紙の場合は保管庫に行く手間や探す手間があり、それらは「探す」という物理的作業や移動のための「時間」が必要になります。
セキュリティ対策になる
紙を持ち歩くことが減る=紙を無くす機会が減ることにつながります。パソコンやタブレットを無くしても、パスワードロックや遠隔でのデータ消去によってセキュリティが担保されていれば、データが盗まれる心配はありません。
環境保護につながる
紙用の木からはA4コピー用紙が約13,000枚つくられるといわれています。
参考
会社で印刷、資料を貰う、本を買う、あなたは木1本を何日で消費しているでしょうか。
ペーパーレス化のデメリット
ペーパーレス化にはITの技術が必須であるため、それらを扱う側がITに慣れていなければいけません。
また、紙とは違いボールペンでの書き込みができないことや、導入コストがかかるなどのデメリットもあります。
ITに慣れていない人の教育が必要
紙の文化に慣れている場合は、電子化のメリットが伝わりづらいかもしれません。
例えば以下のような理由で紙の方が扱いやすいという方もいます。
- 電子書面は字が小さい
- 資料の中で確認したい項目をすぐに見つけられない
- 電子書面はボールペンでメモ書きできない
電子データは容易に拡大できますし、検索機能もあります。また、メモ機能を用いて容易にメモ書きをするこもできますが、「そんな機能は知らない」という方もいます。
また、ITリテラシーが低いと以下のようにセキュリティ事故につながる場合もあります。
- 公共のフリーWifiを使用することによる情報漏洩
- パソコン画面を開きっぱなしにして席を立つことで、第三者に機密情報を見られる
対策としては、VDI接続やVPN接続によって暗号化された通信を使用しなければ社内へアクセスできなくする。Win+L(ロック画面に遷移)などショートカットキーやITに関する教育を行う。などがあげられます。
資料へ書き込みができない
紙媒体であれば直接ペンでメモ書きが可能ですが、電子データだとそうはいきません。
タッチペンやタッチモニタであれば可能ですが、それもまた慣れが必要になります。
初期コストがかかる
ペーパーレス化を進める上で必要なのは電子データを扱えるソフトウェアとデータを保存するサーバー・ストレージ環境を整えることです。
加えて、社員の教育や社規を整理することも必要になります。
システム障害に弱い
サーバーダウンや通信障害などが発生した場合、保存しているデータを参照することができない時間帯が発生する可能性がありますが、ストレージへのデータ保存やバックアップ回線、データ冗長化をしている場合は即時に復旧可能であり、データも破損することはありません。
ただし、回線のトラブルやサーバーの2重障害など、データを参照することができなくなる場合には復旧までの間データを参照することができなくなります。
ペーパーレス化の事例
ペーパーレス化による成功事例は多く存在しますが、ここでは国の施策と民間企業の例を紹介します。
GIGAスクール構想
クラウドを中心としたICT活用、学習用端末を生徒一人に1台ずつ提供などから「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」が文部省から公表されています。
校内LANの整備などを進め、デジタル教科書の導入実装が開始されています。学校に手ぶらで登校できる日が近い将来実現されるかもしれません。
アサヒホールディングス
環境保全の取り組みと、紙媒体を扱うリスクを低減できたと記載があります。
参考
役員会議のペーパーレス化でセキュリティ強化と事務局の負荷軽減を実現。
さらに海外との会議にも活用でき、グローバル展開を加速
参考:アサヒホールディングス
ペーパーレス化、個人でできること
紙の本をなるべく買わない
図鑑や辞書などは難しいですが、小説やエッセイ本は紙ではなく、電子媒体で読むことをおすすめします。手持ちのスマホでもタブレットでも読むことができ、本がかさばることもありません。電車の中やお風呂の中でも気軽に本を読めるようになると、読書も習慣化しやすくなります。
スマートフォンやタブレットで文字を読むのは目が辛いという方や、目の疲れが気になる場合はkindleがおすすめです。
印刷はむやみにしない
印刷する前に必要な印刷か?を一度考えてみましょう。
企業によっては印刷制限をかけているところもあります。
メモアプリを活用する
紙中心の生活を送っている場合、最初は少し慣れが必要にはなりますが、スマホ標準のメモアプリやEvernoteなどのアプリを活用していきましょう。
データがクラウド上に保存されているEvernoteなどのアプリだと、自宅にいても外出中でも同じデータにアクセスすることができます。
スマホからでもパソコンからでもメモの編集ができるため、ひんぱんにメモを取ったり確認する方はこれだけでも時短につながります。
この記事のまとめ
ペーパーレス化には大きなメリットがある反面、デメリットもあります。だた、紙媒体でもメリットデメリットはあるため、必要に応じて使い分けることが大きなコスト改善、業務改善につながります。
ペーパーレス化は環境保全にも利便性の向上にもつながるため、社内での取り組みだけでなく個人での取り組みも実践してみてはいかがでしょうか。