ワーケーションとは、Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語になります。オフィスや自宅ではない場所、例えば旅館やキャンプ場など、普段からの環境とは異なる場所で働くことを言います。
ワーケーションでは「日中は仕事」「夜は宴会」のように、オンオフをしっかり切り替えながら働くことを目的しています。仕事に対するストレスを軽減すること、より充実したプライベートを過ごせるような多様な働き方の一つとして注目を集めています。
この記事では、ワーケーションのメリットや今後普及していくのか?という疑問を解説していきます。
こんな方におすすめ
- ワーケーションのメリット・デメリットについて知りたい
- これからワーケーションが普及していくのか疑問を持っている
ワーケーションをするための準備
ワーケーションを実施する場合、会社から離れた自宅以外の場所で仕事をすることになります。そのためには、事前にスケジュール調整を行い、ワーケーション中に仕事が重ならないようしておくことが重要です。ワーケーション中に自宅へ帰ることができなくなるのは最悪ですからね。
エンジニアの場合はシステム障害やトラブルが発生した時に対応できる人を事前に立て付けておくと、より安心することができます。
上記のような綿密な事前準備をしておくことで、当日のオン・オフの切替も安心してスムーズにおこなえるでしょう。
ワーケーション中に深夜まで残業するような最悪な結果とならないよう、準備していくことが大切です。
スケジュール調整が最重要
平日に旅行へ行く場合、一日休むだけでもあらかじめ注意するべきことは多いです。
以下はネットワークエンジニアを例にしています。あまり忙しくない時期であれば特に気にすることなく休めますが、繁忙期であればそうはいきません。
- スケジュール調整
- 業務の一時引継ぎ
- 設計書やconfigデータなど、提出物の締め切り
- ソフトウェアやネットワーク機器の不具合発生時の対処法
- 客先からの問い合わせ対応
上記について全て対応しておく必要はない可能性も高いですが、すべて必要なことです。
スケジュール調整ができていれば、休暇先からWeb会議へ参加することや資料作成も通常どおりおこなえます。
例えば、以下のような働き方をすることができます。
日曜日 | 休暇先へ移動 |
月曜日 | 定時まで仕事、夜は宴会 |
火曜日 | 定時まで仕事、夜は宴会 |
水曜日 | 午前中に自宅へ帰宅(移動中はモバイルワーク)、帰宅後在宅勤務 |
木曜日 | 仕事 |
金曜日 | 仕事 |
土曜日 | 休日 |
業種や職種にもよりますが、テレワークができるような仕事であれば、パソコンとインターネット環境さえあれば場所の制限はありません。
ワーケーションのメリット
休暇中に後ろめたさを感じない
この時期は忙しいのに自分は旅館で楽しんでいていいのだろうか・・・という休暇に対する罪悪感のようなものを感じたことはないでしょうか。
ワーケーションであれば仕事をこなしながら休暇を楽しむことができるため、後ろめたさを感じることや「あの仕事の進捗どうかな」「問い合わせないかな」という心配を減らすことができ、気持ちが軽くなります。
働く場所を変えることでリフレッシュできる
テレワークをしていても、ずっと変化のない家だと憂鬱な気分になることがあります。
ワーケーションであれば、旅館や海、キャンプ場など「非日常」の中で仕事をすることができます。
遊びたい欲求がでてくることは間違いないですが、その分「早く仕事を終わらせよう」と仕事に対する集中力が増加し、生産性の向上につながります。
ワーケーションのデメリット
仕事と休暇のオンオフの切り替えが難しい
手の届く範囲に「楽しいこと」が溢れている休暇先では、ついつい仕事を後回しにして街を散歩に出掛けることや、温泉に浸かりたいなどの欲求がでてきます。
テレワークでも同様ですが、ワーケーションではより強い自律性が求められます。
自分に甘い性格の場合は仕事の進捗が遅れることが予想されます。
仕事ができる環境を整える必要がある
旅館であれば無線LAN環境がある場合が多いですが、問題は「長時間使用すると疲れる椅子」や「高さの合わない机」です。
雑音などはノイズキャンセリング機能付きのスピーカーフォンや収音マイク、イヤホンなどを使用することで軽減できますが、椅子や机を持ち運びするのは現実的ではありません。
そのため、休暇先にも関わらず余計に疲れが溜まる可能性があります。
ワーケーションという働き方は今後普及していくのか?
テレワークは徐々に普及しつつありますが、ワーケーションはどうでしょうか。現実的に言葉自体は広く伝わっていますが、ワーケーションを取り入れている企業や会社員は極僅かです。また、今後普及していくことも難しいと考えます。
テレワーク自体がまだ普及段階
ワーケーションを導入する前に、企業側ではテレワークができる環境が整っている必要があります。
テレワークを実施するためには、企業側で実施できる環境や社則を整えなければいけません。それには膨大なお金や時間が必要になるため、まだまだ普及率が低いのが実情です。
その段階でワーケーションとなると、会社側も従業員側も理解しがたい働き方に感じるのは普通のことでしょう。また、円滑に業務が進むとは考えにくいです。
ワーケーションをするための費用負担
仮にワーケーションを企業が許可したとします。休暇先への移動費や宿泊費は誰が負担するのでしょうか。
企業が負担する場合、企業側は給料とは別に支払う必要があります。テレワークを導入している企業ですら従業員の実施率100%は難しいのに、一部の社員が会社負担で休暇先へ行くのは許せるでしょうか?不満の声や、会社・同僚への不信感がでてくるのではないでしょうか。
従業員が負担する場合、わざわざお金を払って仕事をするために休暇先へ行くことになります。これには強い抵抗感を感じます。
限られた業種・職務でなければ利用できない
ワーケーションで利用できるのは、ノートパソコン、スピーカーフォン、マウス、モバイルWi-Fi程度です。また、そのモバイルWi-Fiもワーケーションをする場所によっては電波が入らない状況になる場合もあります。
果たしてそれだけで仕事ができる人口はどれくらいでしょうか。そもそも、医療機関や交通機関、建設業で働いている場合は「現場での仕事が当然」であり、ワーケーションを取り入れることは不可能になります。
この記事のまとめ
働き方改革として、徐々に広がっているのがワーケーション(=ワーク+バケーション)です。
ワーケーションのメリット
- スケジュール調整が簡単になる
- 休暇中に後ろめたさを感じない
- 働く場所を変えることでリフレッシュできる
ワーケーションのデメリット
- テレワーク自体がまだ普及段階
- ワーケーションをするための費用負担
- Wi-Fiが普及していない場所がある
- 限られた業種・職務でなければ利用できない
普及しにくい課題も多くありますが、休暇先での仕事は社員満足度が向上する働き方として今後更に注目されていくことが予想されます。